ティラノサウルス
【ティラノサウルス】
時速30kmで獲物に突進
鋭い歯、強靭な顎のつくりから「暴君トカゲ」の名がつけられました。食うものと食われるもの、弱肉強食が当たり前の自然が生んだティラノサウルスの姿なのです。彼らは生まれて、生きるために狩りをし、種をつなぐために敵に向かいます。現在の自然界と何も変わらない生活をしていたのです。自分より大きいものには怯え姿を隠し、小さいものは餌食とし自分の糧にします。生物は何かを意図して進化してきたわけでは無いはずです。時の流れの中で淡々と生きてきただけので、決して「暴君トカゲ」ではなかったのです。それでも研究者が学術上つけた支配者のような名前「ティラノサウルス」という音の響がピッタリくるのは、さすがに恐竜界のスーパースターならではです。
何年か前に地元の博物館で恐竜展が開催され、ティラノサウルスの実物大の頭部化石レプリカを見る機会がありました。その顎にはバナナのような歯がびっしりと生えていて、その頭骨から感じられるのは、兇器をまとったオオトカゲへの恐怖よりも憧れのような感情です。今、もしもティラノサウルスがこの世界に生きていたら、人間は格好のご馳走になっていたに違いありませんが、それでも、生息していたらまた別の楽しい自然界ができていたでしょうね。