ステゴサウルス
【ステゴサウルス】
背中の板は放熱板だった
ステゴサウルスは、ジュラ紀後期(1億5,000万年前)から白亜紀前期(1億4,000万年前)にかけて、北アメリカ大陸に生息していた植物食恐竜です。背中に生えた板状の突起は映画「ゴジラ」のモチーフになっています。
背中の板状の骨は、互い違いに並んでいて、多くの血管の痕跡から、体温を調節するために使われていたものと考えられています。尾の先にある4本の棘は身を守るために使用した武具のようなものです。その他、ステゴサウルスの喉の部分は細かい鎧状の骨のようなもので守られていました。自分たちが肉食恐竜に襲われることを解っていたように、防護するように体を作るわけですから。
進化は本当に謎だらけ、不思議な領域ですね。もしかしたら、背中の大きい板でソーラー発電もやっていたとしたら、なんて、ありえないですけど、想像してしまいますね。
ユウティラヌス
【ユウティラヌス】
羽毛の生えた暴君
中国東北部に位置する遼寧省(りょうねいしょう)で発見された大型の獣脚類の恐竜です。ティラノサウルス上科の大型獣脚類としてははじめて羽毛の痕跡が確認され、「ユウティラヌス(羽毛の生えた暴君)」と名付けられました。体を覆っていた羽毛は最大20cmの糸状になっていて、頭部には飾りのためと思われるトサカがあります。
ユウティラヌスのような大型のティラノサウルス科の恐竜から羽毛が見つかったことから、他のティラノサウルス科にも同じように、羽毛があった可能性が示唆されています。その他にも、中国からはディロング、グアンロング、ラプトレックス、シオングアンロン(・・・ロングはロン「竜」=ロンの方が発音的には正しいのかも)などの羽毛を持っていたと思われるティラノサウルスの仲間も発見されています。
エオラプトル
【エオラプトル】
推定体重わずか10kgの小さい恐竜
南米アルゼンチンで発見された原始的な竜脚形類で、コエロフィシスのように空中の軽い骨を持ち、同様に素早く動き回れたと考えれている三畳紀後期の最も古い恐竜の一つです。植物食に向いた歯と肉食に向いた両方の歯を持っていました。初期の恐竜には雑食性のものが多く見られますが、エオラプトルも昆虫や小動物、他の恐竜の卵なども狙っていたかもしれません。
恐竜時代の幕開けの時代に存在したことから、「エオラプトル(夜明けの泥棒)」という名前が付けられています。恐竜にはふくめないという研究者もいるとのことです(ウィキペディア)。
アルゼンチンでは、三畳紀後期の地層から、初期の竜脚形類のパンファギア(なんでも食べるもの)、レッセムサウルス(レッセムのトカゲ)、リオハサウルス(リオハのトカゲ)[レッセムは人名、リオハはアルゼンチンの地名にちなんだ名前]など、三畳紀後期からジュラ紀前期に栄えた原始的な竜脚形類の植物食恐竜も発見されています。
コエロフィシス
【コエロフィシス】
集団で狩をする細い恐竜
三畳紀後期からジュラ紀に生息した初期の肉食恐竜です。アメリカメキシコ州で見つかった集団化石から、大人から子供まで群れを作って生活していたことがうかがえます。全体が細長い体型で、骨の作りから軽量ですばしっこく、集団で狩をしたとも考えられています。
円錐形のノコギリ状で死肉をあさる
肉食恐竜の多くがそうであるように、コエロフィシスも腐肉食であったと考えられています。ウィキペディアによると、2種類の異なる形態のコエロフィシスが発見されていて、一方は比較的華奢で、もう一方は頑丈な形態であったことから、この特徴はコエロフィシス属の異なる種と考えられていましたが、現在は性別の違いではないかという意見が有力になっている。当然、このことは他の恐竜についても同様で、別の種と考えられていたものが再分類なされるということは、大変な作業とは思いますが、避けてはとおれない重要なことです。
人間のオス的には、つい、オスが頑丈な方と考えがちですが、動物の中にはメスが体格で勝ることはよくあます。あるテレビ番組で深海に住むアンコウの生態を紹介していました。暗い深海に棲む彼らはメスが産卵のために体を大きくし、オスの体は人の小指ほどのサイズです。オスは発達した嗅覚でメスを探し、出逢ったらメスの体に喰らい付きます。そのまま生植の機会を待ち、やがてはそのままメスの体内に取り込まれてしまう、というような内容でした。ちょっとしたホラーSFのような生態ですね。
絶滅した恐竜は化石資料や現在の近い種(存在すればですが)から推測することしかできません。古生物学の真実を確認する方法は無いに等しく、常に新しい発見を求めてひたすら研究を続けるしかない地道な作業の繰り返しなのでしょうね。
ディロング
【ディロング】
羽毛の生えたティラノサウルス
中国遼寧省で発見された小型の恐竜ですが、原始的なティラノサウルス類とされています。顎と尾の部分に羽毛の痕跡があり、体温を維持するために全身を覆っていたと考えられています。若い個体の全身化石がみつかっていて全長は1.6mですが、成長しても2m位だったのではと考えられています。
ウィキペディアでは、属名Dilongは中国語における呼び名「帝竜」(ピンイン:dìlóng; ティーロン)に由来していて、「帝」はティラノサウルス科の王であるティラノサウルスとの関係を表すものというようなことが記されています。しかし、いくらティラノサウルス類の恐竜とは言っても「皇帝の竜」の名前にしてはちょっと小さ過ぎる気もしますね。
意外に小さかったディロング
ティラノサウルスと比べると大人と子供くらいの差があります。同時期に同地域に生息していたティラノサウルス類の肉食恐竜たちの格好の獲物だったかもしれませんね。図だけ見る分には気は強そうですが、「皇帝」の後ろ盾のないディロングは、大きな他の肉食恐竜からは身を隠しながら、自分たちより小型の肉食・草食恐竜を捕まえて食べていたのでしょう。
フクイラプトル
【フクイラプトル】
フクイの泥棒
福井県の白亜紀前期の層で発見された純国産肉食恐竜です。前脚の発達した鉤爪を利用して獲物を捕っていたと考えられています。福井ではその他、フクイサウルス(イグアノドンの仲間)や恐竜の卵、子供の恐竜、フクイティタン(竜脚類)の他、小型獣脚類の化石も見つかっていて、日本を代表する恐竜化石の産地です。 フクイラプトルはアロサウルス上科に属する肉食恐竜と考えられていますが、大きな鉤爪からか、進化型の同じアロサウルス類であるメガラプトル類に属しているという説も近年発表されたともあります。
なぜ「泥棒」の汚名が
オビラプトル(卵泥棒)という卵を抱えこんで発見された化石が誤解の元になってしまいます。のちに卵は抱卵していたものという説が一般的にななりますが、すでに名前は「泥棒」で定着してしまっています。古生物学的に似た骨格を持つものは、同じような名前が付けられます。エオラプトル、シンラプトル、ミクロラプトルなどなど。もちろん、肉食恐竜のほとんどが生きるために卵を盗んで食べていたことは想像できますが、「泥棒」のレッテルはちょっとかわいそうな気がもします。